がん検診の方法のひとつであるPET検査ですが、
「自由診療」なので
健康保険の適用対象なのか、気になりますよね。
ご安心ください。
基本的には「健康保険の適用対象」です。
ただし、
「早期胃がんの検診でない」
「他の検診、検査手法でがんかどうか(転移・再発含む)わからない」
ということが前提です。
つまり、
「他の方法でがん検診を行ってもがんかどうかわからない(早期胃がんを除く)」
という時に使うなら健康保険が適用されるわけですね。
PET検査とはどういうものなの?
そんなPET検査ですが、
そもそもどんな検査方法なのか、ご存知ですか?
PETとは、
Positron Emission Tomography の略で、
日本語にすると
「陽電子放射断層撮影」
になります。
なんだか難しいですね。
後半の「断層撮影」はまあ、
輪切りの写真を撮る、
ってことなのは分かりますが、
前半がわかりません。
レントゲンみたいに陽電子とやらを放射するのでしょうか。
確かにそうなのですが、
レントゲンやCTなどとは「概念」が違うのです。
ちょっとだけ具体的に説明しましょう。
がん細胞は、他の健常な細胞とは見た目から違います。
レントゲンやCTは、
このがん細胞の「見た目」を撮影することで、
診断をします。
ですがこの方法は、
がん細胞が見てわかるくらい成長しなければ、使えません。
しかしそこまで成長していなくても、
がん細胞は発生直後から、
他の細胞にないがん細胞としての性質を持っています。
そのひとつが、
「ブドウ糖をたくさん集める(使う)」
ということです。
その量なんと健常な細胞の3~8倍!
なので、ブドウ糖によく似た性質を持つ物質(FDG)を体内に注入しておくと、
それをブドウ糖と間違えて、大量に集めてしまうことになります。
ブドウ糖ではないので細胞内で簡単に代謝(消費)されないため、
がん細胞の中には特に多くたまることになりますね。
そこでこの物質を撮影できる機械、
PET検査機で撮影すると、
「この物質をたくさん持っている」=「(早期)がん細胞」
と言えるわけですね。
(例外もあります)
つまりPET検査は、
がん細胞を見た目ではなく「性質」から特定する検査方法なのです。
PET検査に副作用ってあるの?
そんなすごいPET検査ですが、
副作用がないわけではないようです。
あらかじめ体内に注入(注射)しておく
FDGなる物質は放射活性を持っているので、
放射線被ばくします。
とはいえその被ばく量はごくわずかで、
一般的な胃のバリウム検査の半分程度だそうです。
健康被害はほぼないと言えるでしょう。
(ただしそのため妊婦さんや授乳中の方は受けられません)
あとは特に触られたり器具をつけられたり、
それどころか服を脱ぐ必要さえありません。
検査前の絶食も5時間程度なので、
一食抜く程度で済みます。
(検査自体は30分程度で済みます)
なので最初のFDGの注射の痛みを除けば、
副作用どころか不快感すらほとんどないと言えるでしょう。
ただ、CT撮影などで狭いところに対する不安が出るタイプの人は、
事前にお医者さんに相談しましょう。
PET検査でも保険適用されないことがある
基本的には健康保険の適用対象であるPET検査。
がん以外の病気の診断にも使われます。
その際も基本的には、
「他の方法で確定できない(ほかに手がない)」
場合は保険適用になります。
つまり、
「念のための確認」「最後の手段」
としてのPET検査なら保険が適用される
と覚えておけば、ほぼ間違いありません。
また、以下の場合は保険の適用対象から外れてしまいます。
・腫瘍が悪性か良性かの判断のためのPET検査
・同じ月に、同じ病名での複数回のPET検査
・同じ月に「ガリウムシンチグラフィー」検査を受けている場合
・不明熱の鑑別や疑い症例の診断目的のPET検査
不明熱、というのは、
「38.3度以上の高熱が3週間を超えて続き、1週間の入院精査でも原因が不明のもの」
を差します。
つまり、「疑い症例」も含めて、
「発熱など何らかの症状が出ている状態で『がんのせいかな?』とPET検査を受ける」
というのは保険適用範囲外になってしまうわけですね。
詳しくは担当のお医者さんに聞きましょう。