「1回注射するだけで1シーズン花粉症に悩まされない」
と聞くと、夢のような治療法ですよね。
別に胡散臭いネット通販とかそういうのではなく、
実際にそういう注射があるんです。
ケナコルト-A（一般名「トリアムシノロンアセトニド」）
という注射がそれなのですが、
強力な反面、副作用も強く、
場合によっては死に至ることも。
しかも一般的な治療薬よりも副作用の発生率が高いのです。
なんでそんなものが未だ医療の現場に存在するのか、
という疑問はもっともです。
実際、耳鼻咽喉科の各学会では
この注射をしないよう声明が出ているくらいです。
ならなぜあるのか？
それは「最後の切り札」だからです。
他の方法では治療はおろか、
症状を抑えることもできない、という
重篤な患者、特殊な体質の患者のためにあるのです。
症状が軽いうち、他の方法で抑えられるうちは、
手を出してはいけません。
花粉症の注射にはステロイドが使われている！ステロイドフリーのものはないの？
先ほどの注射はステロイド薬（副腎皮質ホルモン製剤）です。
ステロイド薬は効果が強力な分、
副作用が強いことで知られています。
ならばステロイドフリー（ステロイドを使わない）で、
即効性のあるものはないのか、
というのは当然の疑問で、期待ですよね。
結論から言えば、
ステロイドフリーの治療法はあります。
というか、
花粉症治療のほとんどはステロイドフリーです。
ただし、
即効性はありません…
主流なのは「アレルゲン免疫療法」。
これは、スギ花粉などのアレルギーのもとになる物質（アレルゲン）を、
ごく少量ずつ体内に取り入れて、過剰反応しないように体を慣らす治療法です。
（「減感作療法」とも言います）
時間がかかりそうですよね。
そうなんです。
大体3年以上かかるそうです。
とはいえ、逆に言えば、
「たった3年で花粉症を卒業できる」なら、
残りの長い人生を楽にできるなら、
全然ありだとは思いますけどね（笑）
手法には「注射」と「舌下（ベロの裏側から吸収させる薬）」があります。
花粉症の注射に保険は適用される？
ステロイド注射も、アレルゲン免疫療法も、
健康保険は適用されます。
きちんと認可の下りている治療法ですから。
特にアレルゲン免疫療法などは
「時間がかかる＝通院回数が多い」のだから、
保険がきくのは助かりますね。
花粉症の治療、いつ始める？
花粉症は、アレルギーの一種で、
私たちの体を守る「免疫」機能が
花粉を「異物」として排除しようとしておきる反応です。
花粉症の薬としてよく聞く
「抗ヒスタミン剤」というのは、
「免疫」が作り出したヒスタミンやロイコトリエンといった
「武器」を使えなくさせるものです。
それはそれで即効性がありそうですが、
実際はそうでもないので、
「そろそろ花粉のシーズンだなぁ」という時期から、
まだ症状が出ないうちから飲むのが効果的です。
対症療法に近いですが、
どちらかといえば予防薬として見た方が効果的でしょう。
上でご紹介した「アレルゲン免疫療法」は、
3年以上かかるので、
思い立ったら即始めましょう。
季節・時期は関係ありません。
「まだ私の症状は軽いし…」
と考えるのは、実は損です。
どんな病気も「早期発見、早期治療」が
負担の軽い治療の鉄則です。
実際、自覚症状がなくても初期の花粉症になっている、
という人は多いそうです。
「病院に行くと、知らなくていいアレルギーまで見つけられるし」
などと言わず、
むしろしっかり見つけてもらって、
早期に治療してしまいましょう！
まとめ
花粉症は厄介な病気ですが、
命に直接かかわることは少ないです。
なのでなんとなく放置したり
市販薬でごまかしたりしがちです。
ですが、今やきちんと「治る病気」になりつつあるので、
ちゃんと専門医にかかって、
適切な治療を受けましょう。
毎年何割かの時期をうつうつとして過ごすなんて、
もったいないじゃありませんか！
仮に治療に3年かかったとしても、
残りの人生の時間から考えれば、
充分に「即効性があった」と言えるのではないでしょうか。
